■作品内容
自分の性癖に気付いたのは学生の頃。一度友人に話してみた。最初は冗談半分で聞いていた友人も、途中から私が本気だと理解した様子で、その際「あんまり他人に言わない方がいいよ」と助言を貰った。そうか、私は…『特殊』なんだ…。世間では「性的マイノリティに理解と配慮を」等と叫ばれているが、正直羨ましい。私の性癖はこの先どんなに世の中が変化しようと、恐らく理解も配慮もされないだろう。私が性欲を発散するという事は、犯罪者になるという事だ。そしてもう一つ悩みがある。これも学生時代に友人と過ごす内に気付いたが、どうやら私は他人よりも性欲が強いらしい。最悪の取り合わせ。湧き出る欲求をぶつける場所がない。それが理由で●●時代はやや塞ぎ込む時期もあったが、大学に入る頃にはそんな悩みにも多少自分の中で折り合いをつけていた。自分の性癖には『蓋』をし、『普通の学生』を心掛けた。それでも強い性欲と男性への興味は抑えが効かず、私はこの頃、たくさんの男性と寝た。どうやら私の体は、男を誘惑する事に長けているらしく、どの男性も私と会話はしていても、目は「そちら」を見ていた。そこで少し誘う素振りをすれば、独りで夜を過ごす事もない。単純なゲームだった。周囲の女性からの評判は最悪だったが。ただ…発散しているはずの欲求が、何故か満たされない感覚があった。何故か…いや理由は明確だった。どんなに男に抱かれても、埋まらない『穴』。一生完成しないジグソーパズル。――

■サークル名:せなか






 

おすすめの記事